滋賀2022:日本最古の駅舎や本物のSL展示!長浜鉄道スクエア

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2022年年末の滋賀旅では、初日に国宝・彦根城散策しましたが、2日目の2022/12/28(水)は長浜を観光することに。

初日のうちに彦根から長浜に移動して「北ビワコホテルグラツィエ」に滞在したため、翌朝はホテルチェックアウトしてから、まずは一番近くにある「長浜鉄道スクエア」へ行ってみました。

長浜鉄道スクエアとは?

滋賀県長浜市にある「長浜鉄道スクエア」は、3つの施設で構成される長浜市立の鉄道博物館です。

現存する日本最古の鉄道駅舎「旧長浜駅舎」と、本物のSL列車とディーゼル列車が展示された「北陸線電化記念館」、長浜の鉄道文化を後世に伝える「長浜鉄道文化館」の3つで構成。日本の鉄道の歴史をみて・ふれて・知って、詳しく学ぶことができます。

長浜鉄道スクエアへのアクセス・入口に到着まで

長浜鉄道スクエアへのアクセスは、電車・車など。今回私は車でアクセスしました。

駐車場は、滞在した北ビワコホテルグラツィエ~長浜鉄道スクエアの間にある豊公園駐車場を利用。豊公園駐車場から写真の大きな陸橋を渡り、長浜鉄道スクエアに向かいます。

豊公園駐車場から徒歩5分ほどで、長浜鉄道スクエアの入口に到着しました。
写真の白い建物が、明治15年3月に北陸の始発駅として建てられた「旧長浜駅舎」で、今現在日本に残るもっとも古い駅舎なんだそう。文明開化を伝えるイギリス式の珍しい建物として、一般に公開されています。

長浜鉄道スクエア建物入口の手前・右側に、真っ赤な線路が展示されています。
こちらは1882年(明治15年)3月の旧長浜駅開業当時から使われていた「旧長浜駅 29号分 分岐ポイント部」。イギリスのキャンメル社から輸入され、本線と計重台線(貨車の重さを測る設備)の2度の務めを遂行し、なんと駅構内で約80年間も使われてきたそう! 通常分岐ポイントは傷みやすいため長年使われることはないのですが、この分岐ポイントは酷使を免れたため生き残り、今となっては現存最古のポイントとして存在している貴重な文化遺産です。

建物入口に入館料の案内あり。右の写真が建物の中に入ってすぐの様子。

建物に入ると右側に受付があり、ここで入館券を購入します(左の写真)。受付の奥にはお土産コーナーがあり、鉄道好きの小さなお子さまが喜びそうな鉄道グッズが並んでいましたよ。

左の写真が館内マップ。受付で入館券を購入・パンフレットをもらって見学します。

旧長浜駅舎

「旧長浜駅舎」は、現存する日本最古の鉄道駅舎です。

東西24.5m/南北9.7m、木骨構造の明治初期としては画期的な石灰コンクリート造り2階建ての建物で、イギリス人の技師・ホルサム氏が設計を担当・ホルサムの監督のもと神戸の稲葉弥助氏が工事を請け負ったという記録があるそうです。

1880年(明治13年)に着工、1882年(明治15年)3月10日の鉄道開通と同時に完成。まだ江戸時代の様子が残った当時としては大変珍しい洋風の建物で、壁の厚さは50cmもあり、窓枠や出入口には当時人気の赤レンガを使っています。当時はまだ「駅」という存在が珍しい時代だったため、多くの人が長浜までやってきたそう。

その後1903年(明治36年)に現在の長浜駅の場所に新しい駅舎が完成、約20年間に渡る長浜駅としての役割を終え、その後は倉庫として使われていました。そして1958年(昭和33年)10月、現存する日本最古の駅舎として「鉄道記念物」に指定、明治の鉄道の姿を現代に伝える歴史遺産として大切に保存されています。

三等待合室~出札口

左の写真、長浜鉄道スクエアの建物に入ってすぐ・現在受付のあるこの空間は、当時は三等待合室だったそう。奥には改札口の案内も残されています。

三等待合室の左側には、出札口(しゅっさつぐち)があり、時刻表と運賃表を提示。ここで切符を購入していたんですね。

一等二等待合室

こちらは一等二等待合室の様子。当時の記録によると、ビロード張りのクッションの長椅子が3脚置かれ、八角型の釣ランプが取り付けられていたそう。三等待合室の質素な雰囲気と比べると、確かに上流階級の人々が利用していたのも納得の空間です。

休憩室~倉庫係室

一等二等待合室の奥には、休憩室・倉庫係室がつながっていました。

倉庫係室にはいろいろな荷物が置いてあります。行き先の札がついているので、倉庫係がここから鉄道車両まで運んでいたのでしょうか。

長浜停車場構内図や高月停車場構内図といった、資料も展示されていました。

世話係室~駅長室

倉庫係室の奥には、世話係室~駅長室がつながっています。

こちらの写真は駅長室の様子。机・備品・駅長の制服などを展示し、当時の様子を再現しています。また駅長室からは休憩室への行き来が可能でした。

長浜駅の初代駅長は高橋善一氏、のちの初代東京駅長となる人物でした(長浜駅は東京駅より前に作られています)。高橋善一氏が生前語った話によると、1882年(明治15年)の開業当初は柳ヶ瀬駅まで7つの駅長を兼任。自ら列車に乗り込んで白と赤い木札(=切符)を売っていたそう。また当時のお客が出すお金は、天保銭・文久銭・一厘銭が入り混じっていたため運賃集計に手を焼いていたようです。

日本で最も古いとされる鉄道駅舎「旧長浜駅舎」では、長浜に鉄道が開通した130年前の駅の様子を知ることで、さまざまな思いを巡らせることができました。

旧長浜駅舎改札口~北陸線電化記念館・長浜鉄道文化館間の通路

旧長浜駅舎・改札口~北陸電化記念館・長浜鉄道文化館間には、ちょっとした通路があります。

通路そのものはどこか懐かしい雰囲気ですが、お子さまに人気の顔出しパネルがあったり、

日付入りの記念撮影コーナーもあります。またその上を見上げると、腕木式信号機も展示されていました。

北陸線電化記念館

「北陸線電化記念館」は、本物のSL列車とディーゼル列車を展示している施設です。

北陸線田村~敦賀間は、日本の鉄道において初めて長距離で交流電化された区間。かつて北陸本線米原~福井間では、途中で険しい山地を越えるための急な坂やトンネルが数多く、蒸気機関車が引っ張る列車の乗客が煙に悩まされ、列車の走行スピードも輸送力も低く抑えざるを得ないという課題がありました。そこで長いトンネルを新しく掘り、電化・複線化して輸送車を増すことを計画。1957年(昭和32)に田村~敦賀間を複線化・交流で電化され、1962年(昭和37)に日本初の北陸トンネルが開通・福井まで電化されました。

北陸線電化記念館では、かつで電化直前まで活躍した「蒸気機関車D51形793号機」と、電化後に登場した「交流電気機関車ED70形1号機」の2車両を歴史的資料として並べて保存・展示しています。

左の写真が、北陸線電化記念館への入口です。いざ中へ!

交流電気機関車ED70形1号機(ディーゼル列車)

北陸線電化記念館に入ってすぐ、手前に展示しているのが「交流電気機関車ED70形1号機(ディーゼル列車)」です。

ED70形1号機は、日本初の営業用60ヘルツの交流電気機関車で、交流の電気機関車であることを示す赤色に塗られて19両製造。ここに展示されているのは、1957年(昭和32年)7月に三菱電機(株)で製造、田村~敦賀間の交流電化区間で1975年(昭和50年)4月まで18年間活躍した車両です。走行距離は1,473,000km、なんと地球を約37周したことになるそう!すごい!

こちらの階段を上ると、車両の中の運転席を見学できます。

こちらが運転席。たくさんの装置があり、何をどうしたらどうなるのか?機械音痴の私にはよく分かりませんが、鉄道好きの方なら興味津々のハズ!

このような電気機関車に関する詳しい資料も展示されていました。

蒸気機関車D51形793号機(SL列車)

北陸線電化記念館に入り、ED70形1号機の奥に展示されているのが「蒸気機関車D51形793号機(SL列車)」です。

D51形793号機は、そのダイナミックな雄姿から愛称「デゴイチ」で広く親しまれている蒸気機関車。なんと全1,115両も製造されたそう。ここに展示されているのは、1942年(昭和17年)11月18日に三菱重工業(株)で製造、1970年(昭和45年)年まで27年活躍した車両です。走行距離は1,784,000km、なんと地球を44周もまわったとか! 真っ黒な煙をあげて力強く走るデゴイチは、カッコいいSL列車のイメージがありますよね。

左の写真、デゴイチのナンバープレートは昭和レトロ感あり。右の写真の階段を上ると、車両の中の運転席を見学できます。

こちらが運転席で、たくさんの難しそうな装置が並んでいます。運転席に実際に座って、ここから見える景色を体験したり、記念に写真を撮るのもおすすめですよ。

運転席からの記念撮影。写真左の娘はともかく、写真右の夫がノリノリです(笑)

このような説明も展示されていました。

資料の展示

北陸線電化記念館の館内には、当時使われていた壁掛け時計や、東海道本線の各駅紹介などの資料も展示されていました。

屋外展望デッキ

北陸線電化記念館には、屋外の展望デッキも併設しています。
屋外デッキ目の前・すぐそばには本物の北陸線の線路があり、電車が目の前を走り抜ける姿を見られるそう。

また館内に展示の2車両を上から見下ろすこともできます。普段の生活では鉄道列車の上部ってあまり見えないので、じっくりと観察してしまいました。

公式ホームページによると、北陸線電化記念館には、駅長さん制服の試着コーナーもあるそう(私が訪れた日は見当たらなかったのですが、見落としたのかも?)。鉄道好きのお子さまなら、駅長さんの制服を着て、本物のデゴイチ前で記念写真はよい思い出になりそうですね!

長浜鉄道文化館

「長浜鉄道文化館」は、長浜の鉄道文化を後世に伝える資料館です。

2000年(平成12年)10月14日「鉄道の日」にオープン。日本で蒸気機関車が走り始めた頃、鉄道の中心だった長浜は、神戸・大阪の太平洋側~敦賀・北陸の日本海とを結ぶ鉄道交通の要所だったそう。

長浜鉄道文化館・館内の天井はヨーロッパのターミナルを模した木造のアーチ作りで、日本初の鉄道連絡船に関する資料・鉄道模型車両の展示、昔の写真やジオラマを使って当時の様子を紹介など、明治時代~現在に至るまでの鉄道史を多数展示しています。

入口

長浜鉄道文化館の入口がこちら。入ってすぐ左側には、琵琶湖汽船はり丸の大きな舵を展示していました。いざ中へ!

右側のコーナー

長浜鉄道文化館に入って右側のコーナーでは、さまざまな資料を展示。左の写真には鉄道開通以前の交通マップが示されていて、京都・大阪と東海地方・日本海沿岸エリア間で長浜の町が大きな接続点だったことが分かります。そして右の写真は、明治20年頃の旧長浜駅の推定模型(ジオラマ)です。

国鉄の新鋭特急のポスターも展示。こうやってみるとなんとなく見覚えのあるものも?! 伝統的な子どもの遊び・どろめんこ(泥面子)もありました。

奥のコーナー

奥のコーナーには、北陸本線鉄道略年表や、鉄道がテーマの懐かしいレコード、ブリキのおもちゃなどを展示。

蒸気機関車がどうやって動くのか?ボタンを押すことでその仕組みを学べる装置も設置していました。

HOゲージ・鉄道ジオラマ

奥のコーナーにある階段を上ると、2階の「HOゲージ・鉄道ジオラマ」で、今の長浜駅を再現した鉄道模型があります。

左の写真のスイッチ「うちまわり」「そとまわり」いずれかを押すと、ミニチュア鉄道が走り出します。本物そっくりのジオラマで、長浜駅から電車が走り抜ける姿は迫力あり! 鉄道信号も本物と同じように切り替わり目が離せません。

左側のコーナー

左側のコーナーには、遊び心くすぐる空間が広がっています。おもちゃのプラレールで実際に遊んだり、えほんコーナーにある鉄道に関する絵本を自由に読むことができますよ。

トンネルアーチ作りを体験することも可能。左の写真が完成前、右の写真が完成後です。

左の写真には、1882年(明治15年)に建設された貨物取扱所の基礎に使われていた煉瓦や、七尾線西岸駅で使われていた今も動き続ける100年前のアメリカ製時計、長浜駅の第3代目駅舎(昭和25年~58年)に使われていた駅名標とのりば案内標、北陸本線庄川鉄道の銘板など、貴重なものを多数展示。

右の写真は、新幹線クイズ! 我が家の子どもは女の子なのでさっぱりでしたが、鉄道好きのお子さんなら盛り上がりそうです。

長浜鉄道スクエアでかかった費用は?

今回、長浜鉄道スクエアでかかった費用は、合計750円でした(交通費は除く)。
・入館券:750円(大人2人×300円、小中学生1人×150円)
・駐車場代:無料(豊公園駐車場、3時間まで無料のため)

最後に・・・

今回、長浜鉄道スクエアの滞在時間は約45分ほど。意外と見どころたっぷり!だった割には、さくさくと見学していました(この後別の予定もあったため)。

日本最古の鉄道駅舎「旧長浜駅舎」で130年前の駅の様子に思いを巡らせたり、電化前後に活躍した2車両を展示する「北陸線電化記念館」でノスタルジックな気持ちにひたったり、長浜の鉄道文化を伝える資料館「長浜鉄道文化館」で明治時代~現在に至るまでの鉄道史を学んだりと、かなり見応えがあり大満足でした(入館券たった300円でよいの?)。

鉄道好きの方はもちろんですが、そうでない方もきっと楽しめるのではないかな?と思います。